04.所得控除
41.医療費控除
自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族が、病気やけがなどの治療を受けて、おおむね10万円を超える医療費を支払った場合、医療費控除を受けることができます。
ただし、200万円までが限度です。
1.医療費控除の計算方法
その年中に支払った医療費の総額 - 医療費を補てんする保険金等の金額 = A
10万円 と 総所得金額等の5% とのいずれか少ない方の金額 = B
A - B = 医療費控除額 (ただし、最高200万円)
2.医療費控除の対象となる医療費
①医師、歯科医師による診療費や治療費
②治療、療養に必要な医薬品の購入費
③病院や診療所、介護老人保健施設、指定介護老人福祉施設、助産所に収容されるための費用
④治療のためのあんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術費
⑤保健婦や看護婦などの療養の世話を受けるために支払った付添人の費用
⑥助産婦による分娩費用
⑦介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
⑧その他、次のような費用で診療や治療などを受けるために直接必要なもの
イ 通院電車代等、入院中の部屋代や食事代の費用、医療用器具の購入代や賃借料の費用で通常必要なもの
ロ 義手、義足、松葉づえ、義歯などの購入の費用
3.医療費控除の対象とならないもの
①医師等に対する謝礼
②健康診断や美容整形の費用
③疾病予防や健康増進などのための医療費や健康食品の購入費
④親族に支払う療養上の世話の費用
⑤治療を受けるために直接必要としない近視、遠視のための眼鏡や補聴器等の購入費
⑥通院のための自家用車のガソリン代、分べんのため実家へ帰るための交通費
4.医療費の総額から差し引く「医療費を補填する保険金等」とは
① 健康保険から支給される療養費、移送費、出産育児一時金、配偶者出産育児一時金、家族療養費、家族移送費、高額療養費など
② 生命保険契約、損害保険契約等により医療費の補填を目的に支払われる傷害保険金、医療保険金、入院給付金など
5.手続き
①医療費控除に関する事項を記載した確定申告が必要です
②医療費の支出を証明する病院などの領収書を確定申告書に添付します。
領収書がたくさんある場合には封筒に入れます。税務署にも専用の封筒が用意されています
③給与所得者の場合は「申告書A様式」を使用すると便利です。申告書には源泉徴収  票を添付します
④医療費控除は、年末調整では受けることはできません
52. 生命保険料控除
1.制度の概要
納税者が生命保険料や個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを生命保険料控除といいます。
2.対象となる保険料
① 対象となる生命保険料は、保険金などの受取人のすべてを自己か又は自己の配偶者、その他の親族(6親等以内の血族、又は3親等以内の姻族)とする生命保険契約等の保険料や掛金です。
② この場合の生命保険契約等からは、生命保険会社等と契約した保険契約のうち保険期間が5年未満で一定のもの及び外国生命保険会社等と国外で締結したものなどが除かれます
3.対象となる個人年金保険料
対象となる個人年金保険料は、個人年金保険契約等の保険料や掛金です。この個人年金保険契約等とは、生命保険会社等と契約した個人年金保険契約などのうち一定のものをいいます
4.留意点
① 支払った生命保険料が生命保険料控除の対象となるか否かについては、保険会社などから送られてくる控除証明書によって確認します。
支払った保険料とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいいます。
② その年中に生命保険契約の保険料を支払った場合には生命保険料控除の適用を受けることができますので、年の中途で解約した場合でも、解約までに実際に支払った保険料について控除を受けることができます。
この場合において、解約返戻金やそれとともに支払いを受けた剰余金の分配や割戻金の割戻しの金額は原則として一時所得となりますので、支払保険料の金額から控除する必要はないとされています。
③ 生命保険料控除の対象となる保険料等に該当するかどうかは、保険料等を支払った時の現況により判定することとされています。
④ 生命保険料控除の対象となる生命保険契約等とは、一定の生命保険契約等で、その保険金等の受取人のすべてをその保険料の払込みをする者又はその配偶者その他の親族とするものをいい、契約者が誰であるかは要件とされていません。したがって、この要件が充たされている限り、たとえば妻が保険契約者であったとしても保険料を支払った夫の生命保険料控除の対象になります。
⑤一時払い保険料
一時払いは、保険を一括して買うというイメージです。保険料は、全期前納払いよりも安いです。
一時払いは契約後に契約が消滅したとしても、払い戻しはありません。例えば、終身保険を一時払いで契約後、死亡した場合、死亡保険金が支払われますが、保険料は払い戻されません。また、解約した場合、あらかじめ決められた解約時の解約返戻金が支払われます。また、生命保険料控除も初年度しか適用できません。
ただし個人年金の一時払は控除の対象外です。(保険料の払い込み方法に「年金支払い開始前10年以上の期間に渡って定期的に支払うもの」という条件があります。)
⑥ 前期前納払い保険料
全期前納払いは、全保険料を生命保険会社に預けておき、払い込み期日に保険料を支払うというイメージです。
死亡などで保険金が支払われたり解約した場合、保険料は払い戻されます。また、生命保険料控除も支払った年分だけ毎年利用できます。
5.生命保険料の控除額の計算方法
生命保険料控除の控除額は、生命保険料と個人年金保険料についてそれぞれ次の表の計算式に当てはめて計算します。この方法で計算した金額の合計額が生命保険料控除額です。
年間の支払保険料の合計    控除額
25,000円以下         支払金額
25,000円超 50,000円以下   支払金額÷2+12,500円
50,000円超100,000円以下   支払金額÷4+25,000円
100,000円超          50,000円
(注) 支払った保険料とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金
や割戻金を差し引いた残りの金額をいいます。生命保険料及び個人年金保険料 の、控除額はそれぞれ最高5万円ですから、生命保険料控除額は合わせて最高10万円となります。
6.安くなる税金の額は
生命保険料控除とは、税金を計算する際に所得から引いて計算されるので、控除額最大の10万円の場合に所得税の税率10%の場合なら所得税で10,000円と住民税7,000円が安くなります。(所得税の税率がもっと複雑です。)
7.保険料控除の手続き
(1) サラリーマンの場合は年末調整
生命保険会社の発行する「生命保険料控除証明書」を「給与所得者の保険料控除等申告書」に添付し、勤務先に提出して、年末調整で控除を受けます。(給与天引きにより保険料を払い込んでいる場合は、提出は不要です)
(2) 自営業者や年末調整しなかった場合
翌年2月15日から始まる所得税の確定申告において「生命保険料控除証明書」を確定申告に添付して控除を受けます。
(3) 住民税の手続きは、年末調整や所得税の確定申告の手続きをすると、住民税の手続きは特に行う必要はありません。