20年前、長野県は冬季オリンピックを終え、肥大化した行政を如何に縮小させるかで、行政能力でなく何のしがらみをもったいない点を高く評価して、行政の刷新を期待して田中康夫知事を誕生させた。脱ダム宣言などの言葉で公共投資を削減し、財政破綻の危機を回避した。


(その功罪)

 行政能力でなく財政緊縮の推進だけを期待されたので、地方行政を円滑に運営するために用意されている官僚組織を使いこなせず、官僚を思考回路の違いからか萎縮させ、県民サービスが停滞してしまった。県政を大きく方向転換できたことは功績大であるが、行政組織を使えなかったことは残念であった。


(寺西重郎日本大学教授の言葉 日経2011.8.3やさしい経済学)

 戦前の政治家は中国の覇道政治の伝統に育ったため、政治とは王の位地を保つための手段とみなしてきた。異なる意見の人の間の調整は重要でなくひたすら政権の獲得に活動の目的がおかれていた。政権を獲れば、もっぱら得票に結びつく問題のみが取りあげられ、国家のあり方や国民の福祉を根本で規定する基本的な問題は政治アジェンダから排除される傾向にあった。そのたどり着いた道は、軍部による無謀な海外進出と戦争、そして敗戦による国民生活の破壊であった。


(今の政権)

 現政権は、国民は自公民政治への閉塞感と硬直した政権運営を打破させ、新しい政治の出現を期待して2年前に誕生した。一年後には政党政治は良しとしても、国民が官僚組織を使いこなせない現状に不満を持ち参議院で野党に過半数の議席を与えた。


(新しい政治を)

 脱原子力・脱官僚と聞こえのいい言葉を並べても行政での結果が伴わないければ、国民は評価しない。民主党には優秀な官僚経験者がいる。彼らならば各省庁が育てている執行能力の高い集団を使いこなし、効率の良い行政を実現させることができるのでないか。党利党略だけに長けた戦前の政治家に類する人物でなく、日本が持つ優秀な官僚組織を使いこなし、大多数の国民に幸せをもたらすリーダーの登場を期待したい。



 読みいただき有り難うございます。どうか、投稿継続の励みとなりますので「ビジネスブログランキング http://jobranking.net/43/ranklink.cgi?id=hoshino 」にクリックをお願いします。
 また、外のジャンルについては http://plaza.rakuten.co.jp/taxoffice をアクセスして下さい。お待ちしております。