平成24年度税制改正
平成24年度税制改正関連法が3月30日に成立しました。小幅な改正ですが、概要を少々
1.個人所得税関係
(1)住宅ロ-ン減税制度の拡充
①住宅ローン減税制度の拡充(認定低炭素住宅の特例の創設
住宅ローン減税制度について、都市の低炭素化の促進に関する法律の制定に伴い、認定低炭素住宅の新築等をして平成24年又は平成25年に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率が次のとおりとなります。
     居住年    控除期間 住宅借入金等年末残高限度額  控除率
      平成24年  10年      4,000万円              1.0%
      平成25年  10年      3,000万円              1.0%
②認定長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除の改正
本特例の所得税額の特別控除について、税額控除額の上限を現行の100万円から50万円に引き下げた上、その適用期限が平成25年12月31日まで2年延長されます。
 (摘要時期)
平成24年1月1日以後に認定長期優良住宅を居住の用に供する場合について適用されます。
(2) 給与所得控除の上限設定
その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額に上限が設けられます。
(給与収入1,500 万円超は一律245 万円)
(3) 特定支出控除の支出範囲の拡大及び摘要判定基準の緩和
 特定支出控除制度(特定支出の合計額が給与所得控除額を超える場合、その超える部分の金額を、確定申告を通じて給与所得の計算上、給与所得控除に上乗せして控除できる制度)について、特定支出の範囲が拡大されるとともに、適用判定基準の見直しが行われます。
①特定支出範囲の拡大
弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費、勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費)を追加。
  ②判定基準の見直し
適用判定の基準を給与所得控除額の2分の1(現行:控除額の総額)とする。
(4) 勤続年数5年以下の法人役員等の退職金に係る2分の1課税の廃止
(5) 源泉徴収に係る所得税の納期に関する特例の改正
源泉徴収に係る所得税の納期の特例について、7月から12月までの間に支払った給与等及び退職手当等につき源泉徴収した所得税の納期限が翌年1月20日(現行:翌年1月10日)とされます。
これに伴い、7月から12月までの間に支払った給与等及び退職手当等について源泉徴収した所得税の納期限を翌年1月20日としている納期限の特例が廃止されます。
2.法人税関係
(1) 中小企業投資促進税制の適用期限が平成26年3月末まで2年延長
中小企業者等が一定の設備投資やIT投資等を行った場合に、税額控除(7%)または特別償却(30%)の選択適用が認められるが、品質向上等につながる設備投資を促進するため、設備振動試験機などの試験機器を対象に加えられた。
(2) 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限が平成26年3月末まで2年延長された。
中小企業者のみに認められた同特例は、30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、合計300万円を限度として、全額損金算入(即時償却)が認められる。
(3) 研究開発税制の増加額等に係る税額控除制度が平成26年3月末まで2年延長
試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる措置の適用期限が平成26年3月31日まで2年延長されます。
(4) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例
長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換えに係る措置について、買換資産のうち土地等の範囲を特定施設(事務所等の一定の施設をいう。)の敷地の用に供されるもの(その特定施設に係る事業の遂行上必要な駐車場の用に供されるものを含む。)又は駐車場の用に供されるもの(一定の事情があるものに限る。)で、その面積が300平方メートル以上のものに限定した上、その適用期限を3年延長することとする。(租法第37条~第37条の4、第65条の7~第65条の9、第68条の78~第68条の80関係)
3.資産税
(1) 住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置の拡充と適用期限の3年延長
適用期限は、平成24 1 1 日~平成26 12 31 日まで
                        平成24 年   平成25 年    平成26 年
① 特別枠(省エネ・耐震住宅):   1,500 万円   1,200 万円   1,000 万円
② 一般枠 :                       1,000 万円     700 万円      500 万円
(2) 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例の延長
住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例の適用期限が平成26年12月31日まで3年延長されます。
(3) 山林に係る相続税の納税猶予制度の創設
4.国際課税関連
国外財産調書制度の創設
年末時点において5,000万円超の国外資産を保有する個人は、翌年の確定申告期限までに調書の提出が求められる。