長野県税理士会機関紙「やまなみ」では、租税教育を特集とするとのことで、私に原稿依頼があり以下の通り提出しました。


(租税とは)

 国家のその成立には、外交・国防と租税が条件であると云われています。特に、古来より徴税人の記述は忌み嫌われるものでありますが、国家成立に欠かせない制度であります。国家は国民のアイデンティティー(帰属意識)の存在が前提で、国民は義務として税負担し、権利として参政権と行政サービスを享受できるのであります。
 現代では、米国で金融危機が発生すれば、その信用不安はウォール街の株価下落に止まらず、世界中の株式市場でも株価暴落が発生します。世界恐慌にならないために各国は協調して、銀行を初めとする金融機関の破綻防止策として公的資金の投入など、国民生活への影響を抑える政策を行っています。身の回りの生活は地球の裏側での出来事に左右されるのがグローバル・今という時代であります。
 従い、自分の生活を守るためには海外の出来事に関心を持ち、国内経済への影響を推し量る知識がこれからは求められます。国債発行残高の多い日本の場合、経済成長が国債償還の前提条件でありますから、経済成長が止まれば、その原資は消費税引き上げとなり、政策如何では経済活動が萎縮して行く「マイナスのスパイラル」に落ち込んでしまい、国民生活は苦しくなります。税への無知が、国の成熟度向上の妨げとなることを我々は防がなければなりません。


(伝えなければ、健全な租税意識は育たない)

 教育の現場では、教育効果を高めるために緻密な準備(教材・指導ノウハウ)の上、限られた時間で所期の教育残存効果をもたらす努力を積み重ねています。税理士の租税教育プログラムも同様に周到な準備が必要であります。単に「税理士の仕事」のPRとする業界エゴが存在する余地はありません。国家の財政という骨幹を支える税理士の役割として租税教育を捉えるべきであります。教育は「米百俵」の通り、日本の将来を担う子供達へのプレゼントであります。


(こころに火を灯すのは貴方)

 国学者本居宣長が日本人の心は「敷島の大和心を人 問わば 朝日にほう 山桜花」とその徳性を伝えています。物質的な豊かさだけでなく、社会生活全体の質の向上に貢献することが大人の役割であります。租税教育は税理士に求められる大人の役割そのものであります。



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