昭和53年2月13日の日本経済新聞に「有機的訓練の効果」と題する記事がありました。当時、私は東京に留まるか、父親の事務所に入るか迷っていた時で、この記事で踏ん切りがつき長野に帰りました。それ以後この記事に自分の脳裏から離れことなく今日に至っています。


(有機的訓練の効果とは)

 日米間の職場における訓練の違いに着目し、米国は労働者を専門化させ生産性を上げるのに対し、日本では短期間で転勤を繰り返し企業全体でのチームワークを醸成して全体での生産性を向上させ、日本の年功序列的賃金を生み出しているとの記事でありました。年齢とパターン別特殊訓練に対応する限界生産力曲線で賃金のピークを説明している。

1,学校教育だけでは・・・・・・・・・・・・・・・・・ピーク年齢 35才
2.数少ない特殊的訓練による専門化・・・・・・・・・・ピーク年齢 40才
3,配転による一連の異なった種類の特殊的訓練・・・・・ピーク年齢 50才


(税務署と税理士事務所の訓練)

 税務署職員は、採用時の税務学校、数年勤務しての税務大学校、以後定期的に職場を離れ研修を重ねている。一方、税理士事務所の職員は、一般的には税理士会が開催する年に一度数時間程度の職員研修の場しか用意されていない。これでは、上記の「数少ない特殊訓練による専門化」程度で、生産性(賃金)のピークは40才となってしまう。税理士なるための通過点と突き放すのでなく、生産性を上げる有機的訓練とな何かを考える必要がある。


(特殊社会との割り切り)

 30年前、監査法人では公認会計士有資格者と無資格者とでは、賃金の差は歴然で、無資格者のピークは35才、有資格者になれば40才、後は能力次第で定年まで伸びると説明を受けました。給与が少ないなら辞めればいい、毎年合格者が入ってくるので、慰留はしない競争社会でありました。


(地方の税理士事務所では)

 「いつ辞めるか分からないのに、有給で勉強させる必要はない」とする所長もいますが、事務所全体の生産性を上げるには、今一人で多技能をこなす職員育成が求められている。職員は記帳を、所長は申告事務とした分業体制から、お客さんでの自計化(パソコン会計)・事務所での電子申告作業へと変化した現在、分業体制を組み難くなった。また、税法の複雑化、関与先の減少で税理士法人設立で生き残りを図る時代になった。そこで、一般企業並みの職員育成プログラムが求められるのではないか。


(賃金を上げる原資がない)

 ここ二十年間で税理士の顧客である企業の減少は100万社を越え、後継者難・売上減少で毎年30万社が廃業していると云われています。年功序列の賃金は維持できないないのが現状。これから勤労意欲を維持させるためには、60年間税務申告だけを専業として来たビジネスモデルを組み替える勇気が必要。そのために、税理士・職員が共に有機的訓練を重ね、ニューフロンティアを求めていかなければならない。



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